人の視線
仕事復帰して、今までなかったことに気付いた。話している相手に自分の胸を見られているような気がするのである。仕事の話をしていても、雑談をしていても、相手の視線が自分の胸に流れるような気がして、さらに、相手が不審な表情をしているような気がするのだ。電車に立っているときに、腰掛けている人から同じような視線を感じた(と思った)こともある。
昨日は、話の最中に左胸のパッドが脇にずれてしまい、それを相手が見て眉をひそめていると思ってしまった。中座してトイレに行き確認すると、パッドは入れたところから動いておらず、左脇にパッドがはさまっているように感じたものは、腋下の2本の縫い跡の間に脂肪が集まってふっくらした部分を腕で押していたのだとわかった。
左右のパッドの位置が違っているのではないかという心配もいつもある。周りにいる人が自分の胸を見て変に思っているなど、自意識過剰もいいところだが、どうしても気になってしまう。
逆に、道を歩いたり電車に乗ったりしていると、周囲の女性の胸に目が行く。じろじろ見るわけではないが、つい見てしまう。そして「今、最低20人の女性とすれ違ったけれど、彼女達の中に乳がん患者はいただろうか…。今私が見た胸の中に再建したものはあっただろうか…」などと、考えても答えの出ないことを考える。「私の周りを歩いている人たちはみな健康なのだろうか…」、「家族ががんで苦しんでいる人もいるのではないか…」など、とりとめなく考える。
しばらくの間コントロールのしようがない心の動きなのだろう。