命をつなぐこと
1年前に同じ病気で旅立った友人におまいりするために、1時間半ほど離れた町まで行ってきた。仏間に通され、「Hさん、久しぶり…」とお線香をあげ、ひとしきり、頭の中で会話した。
彼女の一家は3世代同居。お孫さんが大きくなり、さらにご長男が5か月前に生まれたお子さんを見せに来てくれ、仏間はにぎやかな声で満たされた。
彼女は写真の中でやさしく微笑んで、そんな大家族を見つめている。おばあちゃんに見つめられて家族は安心して過ごしている。彼女が亡くなってから、おじいちゃんに胃がんが見つかり、全摘手術をした。そのおじいちゃんも、元気に出てきてくれ、「早いねぇ」と言いながら、仏壇のろうそくに火をつけてくれた。
命をつなぐことの温かさと、大切さを感じる1日となった。Hさんは、この家で少しずつ、少しずつ、毎日の暮らしから離れ、思い出の中だけで語られるようになるだろう。家族の涙は少しずつ減っていくだろう。
それが大事。大事なこと。家族が前を向いて進んでいく。Hさんのあたたかいまなざしのなかで。
心が温まったいい一日だった。